白だしの元祖・七福醸造:地域を磨く「ありがとう」

里菌主催・発酵ライフアドバイザーと巡る醸造バスツアー「気品ある魅惑の白醤油」。2軒目は白だしの元祖「七福醸造株式会社」へ。(1軒目の日東醸造株式会社はこちら

1978年七福生まれの「白だし」

白醤油よりも白だしの方が知っている方が多いのでは?白醤油が生まれたのは愛知県碧南市ですが、その白醤油に鰹節や昆布などのダシを加えた「白だし」も碧南市生まれ。(市販されている「白だし」の中には、白醤油を使用していないものもあります。)

1978年に七福醸造(株)から生まれた日本で最初の白だしは、こだわりの有機白醤油に鹿児島県産枕崎の「本枯節」、国産の「どんこ椎茸」、北海道産の「昆布」、天日塩、同じく碧南で有数の「三河本みりん」を使用し、旨味・甘味・塩味が融合した、いわゆる「だし醤油」。

有機白醤油の素材となる有機小麦は通常の価格の約4倍!そこに、素材にこだわった高品質な“うまみ”が加わった七福醸造の白だしには、「私たちの全ての基準は、それが世界中の子供・子孫にとって『よいことかどうか』です。」という経営理念が表れている。 七福醸造は業界に先駆け、有機JASの工場の認証を取得。現在でも、白醤油工場としては全国にただ一つ! 16倍濃縮というのも、主婦には嬉しいトコロ。本当に少しの量で、一気に料亭の味に!お湯で薄めるだけでうどんやお蕎麦のおつゆに使えるし、お吸い物もカンタン!洋風白だしは野菜のダシが利いているため、洋食にもピッタリなスープがすぐに作れます。  

「ありがとう」を伝える/伝わる工場見学

七福醸造では、「ありがとうの里」という工場見学の受け入れを行っている。見学最低人数はなんと、1人から!!(工場見学についてはこちら)1人でも多くの人に「ありがとう」を伝えたいという想いがひしひしと伝わってくる。

 

工場の見学をさせていただいている最中、お会いした社員のみなさんから聞こえる「いらっしゃいませ!」「ありがとうございます!」の気持ちのいい声!商品だけではなく、昔から日本人が大切にしてきた「明るい挨拶」「やさしい言葉」「笑顔」「心遣い」「感謝」も伝えていきたい、と犬塚元裕社長。

「ありがとう」や感謝の言葉は、人だけではなく、食べ物や工場全体にも伝わり、そしてその心が商品そのものにも表れる。 「これを見てください」と言われて見せていただいたのは、「ありがとう」と「ばかやろう」の2つの文字が貼られたごはん。「ありがとう」の方は白いままで甘酒のように発酵しているけれど、「ばかやろう」の方は茶色く腐ってしまっている。

「なんどやっても同じ結果が出るんですよ。」 これは、『水からの伝言』という本でおなじみの故 江本勝さんの実験を再現したもの。犬塚社長はある日、工場見学に来られた方に一生懸命この話をし、一通り見学を終えた頃にその方から言われたひとことが衝撃だったそう。 「私、江本勝です。」 「もー、あの時は驚きましたね。喜びと感動と、著者に対して一生懸命説明していた恥ずかしさと(笑)、色々な感情が混じっていましたが、とっても嬉しかったです。」と犬塚社長。  

ピカピカの工場は心と地域も磨く

いつも「白だし」を作ってくれている工場の機材に対しても、「ありがとう」がたくさん表れている。機材の中には何十年と使っているものもあるそうですが、どれが新品でどれが何十年物なのかわからないほど、ピカピカに磨きあげられている機材。

犬塚社長ご自身も、別の会社で働いていてこの会社に戻ってきた時、最初に教えられたのは掃除の仕方だったそう。1日の就業時間のうち、掃除の時間の方が多くなることもあったのだとか。

掃除によって人の心は穏やかになり、生き方が変わるということを説いている、イエローハット創業者 鍵山秀三郎氏の哲学に感化されて始まった掃除の取り組み。今では地域の小学校でのトイレ掃除実践や地域の草刈り・清掃行事にも発展している。さらには、掃除だけでなく、東日本大震災のボランティア活動や三河湾100km歩け歩け大会のチャリティー行事、植樹・間伐など“会社の環境整備”の枠を超え、社会貢献の活動がとても盛んになっている。 「本業以外もとても忙しい会社です(笑)。」

    工場見学の最後には、白だしを使った簡単料理の試食や、もちろん、買い物もできる。発酵への愛が強ければ?、白だしの妖精「白だっしー2号」にも会えるかも。

  取材日:2018年1月30日

Information
七福醸造株式会社
住所
愛知県碧南市山神町2-7
TEL
0566-92-5213(代)
その他
「ありがとうの里」工場見学のご予約・お問い合わせは「ありがとうの里 見学係」まで。
Tel:0566-41-1508(10:00~16:00)
https://www.7fukuj.co.jp/arigato_sato/index.php

この記事を書いた人

里菌 かこ
「暮らしの発酵通信」ライター/発酵ライフアドバイザーPRO.

微生物関連会社に10年務め、農業・健康・環境などあらゆる分野での微生物の可能性について取材し、業界紙に掲載。発酵ライフアドバイザーPRO.の資格を取得し、発酵食品についても広く知識を深める。ライティングだけではなく、ワークショップ講師やイベント企画も務める文武両道の発酵ライター。

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