夏バテ防止の甘酒パワー!

昔から家庭で飲まれてきた、日本の発酵飲料、甘酒。寒い季節の飲み物のような印象があります、さわやかな甘みが特徴の甘酒は、江戸時代には夏バテ防止の飲み物として親しまれていました。一晩で出来ることから「一夜酒」とも呼ばれ、酵素が豊富に含む甘酒。麹と水を混ぜて発酵させて作られます。成分がビタミンやアミノ酸など栄養補給の時の点滴の成分に近いため「飲む点滴」とも呼ばれます。 手作りの甘酒で暑い夏を乗り切りましょう!

甘酒を知る

甘酒とは?

麹(米や麦、大豆に、麹菌を繁殖させたもの)に水を加え発酵させる、なつかしい日本の発酵飲料。その起源は古代中国の聖なるお酒とも言われ、遠い昔から愛され続けてきた「甘酒」ですが、「酒」といってもアルコールは含まれていません(※)。 現代では寒い時期の飲み物として扱われていますが、江戸時代では夏に、甘酒売りが通りでお客さんを呼びながら売って歩く「夏バテ防止飲料」でした。酵素を豊富に含むので、お酒の席の前に必ず飲んで悪酔い防止にする、という武士の習慣もありました。二日酔いには効果がないけれど、先に飲んでおくと翌日が違うのだそう。 ※酒粕に水と砂糖を加えた甘酒もありますが、その場合は酒粕由来のアルコールを含んでいる場合があります。

甘酒の効能は?

甘酒の成分は20%以上がブドウ糖。麹に含まれる酵素やコウジ酸、全種の必須アミノ酸、吸収率ばつぐんの天然のビタミンB群など、甘酒は栄養の宝庫でもあります。 腸内環境の向上や脳の活性化、美肌効果としては日焼けの素のメラニン色素を抑えたり、疲労回復にも役立ちます。甘みによる満足感を得たいときには、砂糖を使わず甘酒に切り替えるだけで、おいしさと健康効果がぐっと高まります。

甘酒を作る

色々な作り方

甘酒のつくり方はとってもシンプル。 米麹とご飯(炊いた米または粥)を混ぜ、55℃〜60℃をキープして6時間〜9時間おいて糖化させるだけ。一晩で完成するので「一夜酒」と呼ばれることもあるそうです。炊飯器やポット、ヨーグルトメーカーなど保温設定ができる家電を使って、簡単に自作できます。 甘酒には「かた造り」「うす造り」「早造り」の三種類があり、「かた造り」には米麹とご飯を同じだけの量使用します。「うす造り」には、米麹とご飯を同じ量にし、水を片方の半量加えて作ります。

ご飯を使わずに、米麹に同じ量またはその倍の水を加えたものは「早造り」と呼ばれ、3〜6時間の糖化で出来上がりです。(早造りの甘酒の作り方>>) 保温しておくと、米麹に含まれるアミラーゼという酵素がご飯の中のでんぷんを分解し、ブドウ糖を作り出します。すると、とっても甘い「甘酒」となるわけです。 出来たばかりの生の甘酒には酵素が活きています。保存する場合は日持ちさせるために熱しておきましょう。熱すると酵素は失活してしまいますが、甘酒の栄養成分は残ります。一週間程度で必ず飲みきって下さい。

早造りの甘酒  

甘酒のベストな飲み方とは?

時間帯によって効果が違ってきます。 消化を良くしたいなら、寝起きや食後に。朝頭がぼーっとする時は、寝起きに飲むとシャキッとしてきます。アルコールの分解を良くしたいなら、お酒を飲む前に。酵素が活きている甘酒をおちょこ一杯程度飲んでおきましょう。 お砂糖の代わりに料理に使ったり、ドレッシングや煮物、炒め物に入れたり、ハンバーグなどに隠し味として混ぜ込んだりもおススメです。

この記事を書いた人

里菌 かこ
「暮らしの発酵通信」ライター/発酵ライフアドバイザーPRO.

微生物関連会社に10年務め、農業・健康・環境などあらゆる分野での微生物の可能性について取材し、業界紙に掲載。発酵ライフアドバイザーPRO.の資格を取得し、発酵食品についても広く知識を深める。ライティングだけではなく、ワークショップ講師やイベント企画も務める文武両道の発酵ライター。

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