皮膚を守る「菌バリア」

 

アルコール消毒のしすぎや化学合成洗剤を使用することで手がガサガサになった経験がある方も多いはず。人の皮膚には、常在菌と呼ばれる菌たちがいて、悪い菌から皮膚を守ったり潤いを保ったりしてくれています。 うがい・手洗いはカゼや感染症予防の基本ですが、元々持っている皮膚の天然バリアを壊さない心がけも必要です。

 

助菌・好菌で天然バリアを守る

皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つの層と、汗腺、皮脂腺、毛などからなっています。表皮では皮脂と汗が混ざり合っていますが、これが天然の保湿クリームとなり、乾燥を防いだり細菌やホコリが体の中に侵入するのを防いでくれています。

この、天然クリームを作ってくれているのが皮膚常在菌と呼ばれる菌たちです。過度な洗浄や抗菌・殺菌剤の使用によって、皮膚常在菌のバランスが崩れ、皮膚トラブルへと発展してしまいます。 また、皮脂膜のバリアを界面活性剤が破り、体内に入りやすい状態になったところに化学物質が入り込んでいく。それが、解毒できずに体内に蓄積し、様々な健康被害をもたらすことになります。

 

肌から吸うものの解毒率は約10%

人間の体が物質を吸収する時の経路は大きく2つあり、「経口吸収」と「経皮吸収」です。「経口吸収」は、食べ物や飲み物など、口から体内に吸収するもので、体内に毒が入った場合は肝臓や腎臓などによって、約90%解毒・排出されると言われています。

一方で、肌や呼吸から体内に吸収する「経皮吸収」では、内臓による解毒機能が働きにくいため、体外に排出できるのは10%以下と言われています。「経皮吸収」の中には、鼻や口などの呼吸器系から吸収する「経気道吸収」も含まれ、柔軟剤やたばこのニオイなども体内へと吸収されています。アロマテラピーは経気道吸収を良い方向に利用したものです。肌に触れるもの、空気の質を見直しましょう。  

 

お肌の守り方

その1:素手で洗う

皮膚常在菌がいる「角質層」はラップと同じ薄 さ(0.02mm)でできています。タオルなどでゴシゴシこすってしまうと、「天然保湿クリーム」がはがれてしまいます。たまにはたっぷりの泡で素手で洗いましょう。

トウモロコシのポリ乳酸繊維から生まれた泡立てネット。生分解性で土に還るため、環境にも優しい。

 

泡立てネット「まろあわちゃん」(販売元:株式会社スピカコーポレーション)  

 

その2:無添加石けんで洗う

「石けん」と商品名に書かれているものでも、実は、合成界面活性剤が使用されている場合があります。裏面の販売表記をきちんと確認し、品名欄に「石けん」と書いてあるものを選びましょう。

オーガニックオリーブオイルを使用した贅沢な洗顔石けん

 

ほがらか石けん(旧商品名:シャボン玉 EMオリーブソープ(販売元:(株)EM生活)  

 

その3:無添加化粧品を使う

混ぜて濾すだけで簡単に作ることができる発酵コスメ「酒粕化粧水」。酒粕には、美白成分であるコウジ酸、シミを薄くするアルブチン、シミの素を作らせないフェルラ酸など、美肌に嬉しい成分がたくさん。液体を化粧水に、固体をパックに使えば一石二鳥!もちろん、市販のオーガニックや無添加化粧品のお気に入りを見つけても◎

酒粕化粧水の作り方はこちら>>

国産オーガニックコスメ「究極のナチュラルアンチエイジング:㈱アムリターラ」>>  

 

その4:甘酒を飲む

甘酒には米麹から作るものと酒粕から作るものの 2 種類があります。どちらも、美白成分である「コウジ酸」や「フェルラ酸」、肌の代謝を高め、ターンオーバーを促進させる「ビタミン B群」が豊富に含まれています。

米麹と水だけでつくる!キホンの米麹甘酒>>

 


「暮らしの発酵通信」特別号掲載

この記事を書いた人

里菌 かこ
「暮らしの発酵通信」ライター/発酵ライフアドバイザーPRO.

微生物関連会社に10年務め、農業・健康・環境などあらゆる分野での微生物の可能性について取材し、業界紙に掲載。発酵ライフアドバイザーPRO.の資格を取得し、発酵食品についても広く知識を深める。ライティングだけではなく、ワークショップ講師やイベント企画も務める文武両道の発酵ライター。

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