イギリスの発酵を取り入れた暮らし:宮城ACOさん

宮城ACOさん(沖縄県/服飾デザイナー)

豊かな発酵文化は海外にも

「意外に思うかもしれませんが、イギリスにも発酵文化があるんですよ。」 大自然に囲まれたイギリス南西部のウェールズで出産と子育てを経験したacoさん。 「イギリスでよく飲まれる紅茶は茶葉を発酵させて、コクと香りを生んだものです。イギリスの人たちは朝ごはんに、ビールの酒粕を使ったペーストをうすくトーストに塗って、食べたりもします。チーズやヨーグルトなども、日本より種類がずっと豊富だったから、意外と日々発酵にふれて暮らしていました。」 ドイツのザワークラフト、スウェーデンのシュールストレミング、ヨーロッパにもさまざまな発酵食品が存在する。

 

生活に彩りをそえる植物たち

植物好きのacoさんは現在沖縄の自宅の庭でハーブやお野菜を育てている。 「今はオレガノやローズマリーなどのハーブと、沖縄野菜のハンダマ(金時草)、金蓮花などを育てています。コリアンダーやカラシナは種ができるまで育てて、ドライフラワーにして部屋に飾っています。服の展示のときもいいアクセントになるんです。」 自宅の壁には素敵にアレンジされたドライフラワーがたくさん。 「お庭で育てたバジルでソースを作っています。いろいろアレンジがきくので常備しておくととても便利。」材料はお庭で採れたバジル、オレガノ、パセリとアンチョビ、にんにく、オリーブオイル、クルミ。この日は、ビタミンや鉄分たっぷりの沖縄野菜ハンダマに金蓮花を添えた色鮮やかなサラダもテーブルに。

「イギリスはフラワーレメディの歴史も古いので、花の薬効もよく理解されています。金蓮花は腸内細菌を傷つけない天然の抗生物質みたいですよ。」見た目の美しさと効能のバランスはデザイナーのacoさんらしい視点。 「植物は目に美しく、体に嬉しく、育てて楽しい。そんな植物たちに喜んでほしいから、土を大切にします。『暮らしを発酵する』という感覚は、家族との関係、友達との関係に似ている気がします。時間がたてばたつほど、お互いに、心地よく熟していけるよう な。思いやる気持ちを忘れないこと。それが発酵のポイントでしょうね。」

沖縄の太陽を浴びて育った金蓮花とハンダマは色も鮮やか。オリジナルソースからは新鮮な自然の息吹が香る。 acoさんは、地元の食材を使って、オリジナルの「マイ酵母」を起こすのが趣味だそう。この日はシークァーサーと島人参、それに島大根と紅芋で起こした元気な酵母でおいしそうな天然酵母パンを焼いていました。手づくりのパンは、甘みがほっこり優しくて、子どもたちも大好き。

この記事を書いた人

里菌 かこ
「暮らしの発酵通信」ライター/発酵ライフアドバイザーPRO.

微生物関連会社に10年務め、農業・健康・環境などあらゆる分野での微生物の可能性について取材し、業界紙に掲載。発酵ライフアドバイザーPRO.の資格を取得し、発酵食品についても広く知識を深める。ライティングだけではなく、ワークショップ講師やイベント企画も務める文武両道の発酵ライター。

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