家庭菜園で子どもの味覚を育む:金野美穂音さん

金野美穂音さん(愛知県/主婦)

野菜の味が分かる子育て

「ママ―!給食ね、お野菜の味がしなかったの。」 一家の末っ子友海ちゃんが初めて学校給食を食べたときの感想です、と愛知県の主婦、金野美穂音さんは語る。 「あぁ、よかった、味の違いがわかる子に育ったんだ。私が気をつけていたことは、ちゃんと子どもに伝わっていたんだ、と思いました。」 5~6年前までは、それほど食にこだわりもなく、体調が悪くなればすぐに薬を飲み、化学合成洗剤なども疑問なく使う暮らしをしていた金野さん。 「高校生の頃から頭痛・胃痛・生理痛がひどくて、常に痛み止めを持ってました。上の子が幼稚園の時にイベントがあって、その時も頭が痛くて休んでいたら、近くのお母さんが『大丈夫?』と声をかけてくれました。その方はアロマオイルを持っていて、それを借りたら頭がすーっと楽になって。何これ?!と驚いたんです。それをきっかけに、食のこと、体のこと、環境のこと、色んな事を教えてもらって、少しずつ身の回りを整えていきました。そうしたら、体が本当に楽になってきて、頭痛持ちだったってことをすっかり忘れるくらいになりました。」

2年ほど前に家を建てて引っ越しをした金野さん。当時まだ畑もなく、通っていた自然食品店も遠くなった。1~2ヶ月の間は近くの店で手に入る野菜を食べていたが、その時に不思議な体験をした。 「食べても食べても満たされない感じがして、量は食べるんだけど、お腹いっぱいにならなくて、子ども達も一緒でした。白米も食べすぎてしまう。そうしたら、家族が体調不良で1人倒れ、2人倒れ・・・。『食』って、こんなに身体に影響を与えるんだ!と改めて感じました。回復するのも遅かったです。」

自然の野菜と菌を食べる暮らし

「自然に育ったお野菜って、菌がたくさんいるんでしょうね。菌がいっぱいいるものを食べると、本当に元気になる。満たされる。」 『菌と暮らす』ことを意識し始めた金野さんは、様々な変化を自覚した。イライラがなくなって体温も上がり、周囲が「暑い」「寒い」と言っている中でも、体温調整ができるようになったそう。 「あと、菌と暮らしていたら、家の中が発酵空間になったのか、買ってきた豆乳をパックのまま冷蔵庫に入れておいたらヨーグルトになっていたんです。何もしていないのに、勝手に。驚いたので、友人に同じことをやってもらいました。そうしたら、友人の家ではピンク色になり、悪臭がして、とても食べられそうな物にはならなかった。うちは、何回やってもヨーグルト。家族みんな食べていますが、お腹を壊すこともなく、おいしく食べています。」  

小さい時こそ舌を大切に

安全で美味しい野菜が食べたい、家族が健康でいてほしいという願いから、今は畑で野菜を育てる金野さん。「昔は自分で畑をやるなんて考えたことがなかったけど、農業塾に通ってみたら、『菌の助けを借りたら、こんな簡単にできるのか!』と知りました。管理がしきれていない時もあるし、忙しくて、野菜買っちゃおうかな、と思う時もあるけど、やっぱりそれで体調を崩した時のことを考えると、畑に行くぞ!ってなります。子どもが友達の家に遊びに行く時に、畑で採れたトマトを持って行ったら、最初は『トマト持って行くなんて恥ずかしい!』なんて言っていたけど、実際に友達に食べさせたら、みんな『おいしい。おいしい。もっとちょうだい』と盛り上がったそうです。トマト嫌いの子も、あまりにも皆がおいしい、おいしいというから、つられて食べたら『おいしい』と。」

子どもの体の正直さを感じる、と金野さんは言う。「小さい時こそ、子どもの舌を大切にしたいです。それに、親がどんな情報を得て子どもに発信するか、が大切かな。私はもう昔の生活には戻れないし、自分がいいと思ったことを実践してます。自分が知る限りの事を発信していきたい。それが子ども達に押し付けになってなければいいな。これから2人がどんな成長をしていってくれるかが楽しみです。」

この記事を書いた人

里菌 かこ
「暮らしの発酵通信」ライター/発酵ライフアドバイザーPRO.

微生物関連会社に10年務め、農業・健康・環境などあらゆる分野での微生物の可能性について取材し、業界紙に掲載。発酵ライフアドバイザーPRO.の資格を取得し、発酵食品についても広く知識を深める。ライティングだけではなく、ワークショップ講師やイベント企画も務める文武両道の発酵ライター。

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