ウィルス感染対策のポイント

私たちが生きる現代は飽食と清潔に保たれた衛生環境により、感染症自体が少なくなりました。しかし、毎年のようにインフルエンザがメディアの話題となり、ここ最近では、新型コロナウィルスが世間を騒がせています。

マスクの品切れ状態が続いていますが、マスクで防ぐ(そもそも防げない)よりも、自分の免疫力を高めることを心がけましょう。

 

感染しないこと、発症させないこと

一般的に感染症とは、病原体と呼ばれる微生物が人体のどこかに巣くい、増殖し、身体を蝕むことを指します。取り付かれた状態を「感染」と呼び、感染後に発病した状態が「感染症」ということになります。ですから感染した後に発症させない免疫力が大切になります。

ウイルスは果てしなく小さいので、マスクで侵入を防ぐことは不可能です。マスクの利点は口腔内の保湿であり、粘膜の粘液でウイルスを洗い流せる状態を維持するためです。
ですから、マスクの隙間が大きいとか、マスクから鼻が出ていては意味がありません。うがいと手洗いの是非は、五十歩百歩。下図のように感染経路は色々ございますので、古いものは食べないことや、加熱処理・防虫などの対策を立てましょう。

 

免疫力を下げている生活

全ての人に備わっている防御システムが免疫です。免疫担当細胞と呼ばれるものが全身くまなく巡回して病原体を排除しています。赤ちゃんは生まれる瞬間から菌の海に放り出され、免疫システムも不完全なので様々な感染症を起こします。実は、繰り返す病原体との出会いにより免疫力が高まっていくのですが、最近ではその機会も減っています。

免疫力が常に高く維持されていれば、あらゆる感染から身を守れるはずなのですが、実際はそうでもありません。それは、免疫力を下げてしまう社会生活によると考えられます。人工肥料で育った栄養素がスカスカの作物は、栄養価が低ければ味も落ちるため、添加物で味を補うことになります。

町を歩けば、排気ガスは吸い放題。電磁波も浴び放題。医療被曝もし放題。過労プラス働きづらい職場で免疫下げ放題。このような社会生活の中でも、どう免疫力を高く維持していくのかが課題なのです。

健康的な生活を送るためには?

健康的な生活を送るための5つのキーワード「食材選考・腸内環境是正・心の安寧・熟睡安眠・筋肉活用」は講演会でよくお話ししています。これらは密接に関係し合っているので、1つとして疎かにはできません。

選ぶべき食材は「まごわやさしい」で問題がありません。

 

・ま→豆類
・ご→ごま
・わ→わかめ(海藻)
・や→野菜
・さ→魚
・し→しいたけ(きのこ類)
・い→いも類

 

「まめ・ごま・わかめ」は種子類と海藻類を指しています。この3点は特に「ミネラル成分が豊富」であり、我々の新陳代謝などのあらゆる営みに直接必要なミネラルを充足させることが大切です。このミネラル成分は外部補給が100%であり、吸収率も低いものがあるため小まめに補充し続けることが必要となります。

「やさい・しいたけ・いも」は根菜類や葉物、キノコ類を指しており、ビタミンやミネラル、繊維質、抗酸化物質を取り入れる為の食材です。

この「まごわや*しい」は見ての通り農作物です。繊維質は腸内環境の是正に必要不可欠なことは既にご存じでしょう。腸内細菌を是正し続けると何が起こるのかというと、ひと言で申し上げるならば「自然治癒力の底上げ」が成されるということです。

2015年のNHKスペシャルでも放送されたことですが、腸内環境を整えることによって、抗加齢作用・抗動脈硬化作用・抗高血糖作用・抗血栓化作用・抗アレルギー作用・免疫力の高値安定化作用が分かっています。免疫力が高まれば抗がん効果も高まるのは当然です。これだけの恩恵が腸内細菌を育むだけで得られるとしたら、これらの作用を発揮する現代医療は全くございませんから、もう、なんとお得なことだろうとは思いませんか?

その菌の育み方は大きく2つしかありません。1つは菌の餌となる繊維質を摂ることです。それは「まごわや*しい」で賄えます。もう1つは菌の友達を供給することです。要するに「発酵食品」を摂り、善玉菌を送り込んであげればいいのです。

注意すべきは「本当に発酵したもの」を食べ続けることです。食材としては納豆やお味噌汁は定番となります。糸を引く物質を混ぜた納豆もどきには注意して下さい。その辺のスーパーで売っているキムチは発酵していないものが多いです(本物は日々味が変わり酸味が増す)。調味料も塩麹や醤油麹を使うとか、本格的な糠床でお漬物を漬けるとか、色々と工夫して下さい。そこまで食べられない食習慣の場合は、サプリメントの摂取も、いいでしょう。

余談ですが、私は「オリーブオイル焼き玉ねぎホイル焼き天然塩がけ」を2個食べると翌朝は快便になることを発見しています。皆さんも快便野菜を探して下さいね。まごわやさしいの「さかな」は肉類と考えていいと思っています。食材の「質」が高ければ、陸上動物の肉も良しとします。

くどくど申し上げますが、食材の質とは、育ちが全てです。如何に化学物質が少なく、愛されて育成されたのかが重要です。自然治癒力を学んでみて面白いと思えるのは、人間が楽しく幸せに生活すると治癒力が向上するような仕組みが備わっていることです。その為にも気分転換は必要ですし、ものの見方や考え方の変換も必要ですし、癒しの時間を設けることはとても大切です。

 

 

医学博士 田中 佳 氏
昭和60年に東海大学医学部卒業後、同大学付属病院脳神経外科助手を経て、市中病院で急性期医療に長年携わる。脳神経外科学会および抗加齢医学界の専門医となり、悪性脳腫瘍に関する研究で医学博士を取得。現在は、予防医学、教育講演活動、執筆活動に取り組んでいる。主な著書「健康自立力」「続・健康自立力」(メタモル出版)、「健康の原点は食と腸にある」(きれい・ねっと)、「あなたが信じてきた医療は本当ですか?」(評論社)

ドクターセラピスト田中佳


免疫力を高める、発酵食品を使ったレシピはこちら>>

この記事を書いた人

里菌 かこ
「暮らしの発酵通信」ライター/発酵ライフアドバイザーPRO.

微生物関連会社に10年務め、農業・健康・環境などあらゆる分野での微生物の可能性について取材し、業界紙に掲載。発酵ライフアドバイザーPRO.の資格を取得し、発酵食品についても広く知識を深める。ライティングだけではなく、ワークショップ講師やイベント企画も務める文武両道の発酵ライター。

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