究極のナチュラルアンチエイジング:㈱アムリターラ

独自の厳しい商品基準を掲げ、国産オーガニックコスメ&フードを展開している㈱アムリターラの勝田小百合さん。

「いちいち本気で商品を作っています」という言葉に、一切の曇りがないことは、話を聞けばすぐにわかる。ナチュラルアンチエイジングへの道のりとその先にある世界とは。

株式会社アムリターラ 代表取締役社長  勝田小百合さん

1968年生まれ。カイロプラクター。一児の母。ナチュラルカイロプラクティック院長。国産オーガニックブランド「AMRITARA」(アムリターラ)代表兼商品開発担当。都内にある治療室で多くの女性の施術をしながら、ブログ「アンチエイジングの鬼」で健康美容情報を発信。著書も多数。

 

アングラの女王からアンチエイジングの鬼へ

私がアンチエイジングの道に進むようになったのは、33歳の時に初期老化の兆しを感じたことでした。20代からずっと演劇をしていたんですが、私は少女の役が多かったし、自分が「老いる」ということをまったく想像していなかったんです。 少女と言っても、日本刀をもって血のりを飛ばすような役柄ですけどね。「ろうそく持ったら日本一」「アングラ(アンダーグラウンド)の女王」なんて言われていたんです(笑)。

腰まで長い黒髪で真っ赤な口紅をして、タバコも吸っていたし、役者だけじゃ生活していけないから、夜中にアルバイトして、生活はめちゃくちゃ。オーガニックなんて全く興味がありませんでした。

当時付き合っていた役者仲間の彼(現夫)が、役者をやめてアメリカに行って帰ってきたら、「俺はオーガニックを広める人になる」って言い出したんです。それで自然食品店に勤めるようになりました。そうしたら、急に生活の中にオーガニックが入ってきて。調味料が変わり、米が変わり、野菜が変わった。貧乏には変わりないんだけど、食生活がやけに豊かになったんです。

当時はただ単に「おいしい」と思って食べていたんですが、その食生活を続けていたら、自分の体質だと思っていた体の不調が良くなっていって、「オーガニックってすごいな」って思い始めるようになりました。私は昔から、探求心をもって物事を見る癖があるから、オーガニックって何なのか、どんな塩がいいのか等を追究していったんです。 とはいえ、めちゃくちゃな生活リズムはそのままだったから、28歳の時にパニック障害になって、色々試していく中で最終的にカイロプラクティックで治りました。それで自分もカイロプラクターの道を進むことにして、下積みを経て36歳の時に自宅でカイロプラクティックの治療院を 立ち上げました。

 

勝田さんが2年前に書かれた渾身の一冊。食や化粧品のことだけではなく、居住空間や衣類な どあらゆる方向から「アンチエイジング」のための知識と美容法が満載。「老けないオーガニック 勝田小百合著(ワニブックス)」。

 

でも、自宅治療院にすぐに患者さんは来ないし、ちょうどそのころ妊娠したこともあって、時間があったんです。

何とかナチュラルな方法で永遠の若さと美しさを手に入れられないか、という野望を抱いていたので、その想いと、これまでの知識を「アンチエイジングの鬼」としてブログに書き綴り始めました。

 

ブログ、3・11からのアムリターラフーズ

今は、ナチュラルな美容法で食のことを発信している人はたくさんいるけど、その当時、オーガニック食品と美容の世界って分断されていました。美容といったら、メスを入れたり注射したり、外科的な方法が主で。

でも、私はナチュラルな方法でアンチエイジングをするという野望があったし、私の中では食と美容が当たり前につながっていました。 それを書き綴っていたらあっという間に人気ブロガーになって、出版社からも声がかかるようになりました。

ブログの内容も、「どこかの偉い先生が言っているから効果がある」とは一切書かなくて、自分で徹底的に調べて確信を持ったことだけを書いていました。その中で、自分が「これはすごい」という商品を勝手に紹介していたら、名もなき商品が一気に売れるという現象がしょっちゅう起きるようになったんです。

アムリターラフーズで今私のことを助けてくれている生産者さんたちの中には、そんな現象を経験した方々もいます。私のブログに助けられたと恩義を感じてくださって、とてもよくしてくださいます。

社員研修の一環として大分県にある田んぼでお米作りも行っている。収穫したお米はアムリターラ米として販売されたり、加工米として使用されている。

 

アムリターラは国産オーガニックコスメの会社だから、商品として食品をやるつもりはありませんでした。でも、3・11以降、今までは農法のことだけ気にすればよかったのに、放射能の問題が覆いかぶさってきました。何が安全で、どこのものを買えばいいのかわからなくて、疲れてしまって。私も移住を考えたけど、結局東京に残る選択をしたので、だったら、同じように不安を持っている人がいるんだから、自分のところで検査して、安心して買えるものを揃えよう、と始めたんです。

オーガニックコスメの店内に、自然に並ぶこだわりの食品「アムリターラフーズ」。体の中と外、両方のアプローチで自然に美しくなる方法を伝えている。

 

表参道の店をオープンしたのは2011年の6月。表参道は外資系の企業が多いから、3・11後閑散としていました。こんな時に店始めてどうすんの? という雰囲気でした。でも、みんなの体がデトックスできて、代謝が上がるような内装で、安全な食品が買える店があったら、少しでも関東の人たちのためになるんじゃないかって思ったんです。だから、店は化学物質を使わない自然派建築にして、店に入るだけで新陳代謝が高まるような作りになっています。

 

肌バリアに着目した「アムリターラ10の約束」

「昔からアムリターラのファンだったんですが、会社に入り、実際に商品開発の裏側とかを知って、ますますファンになりました」とAMRITARAHOUSEの小山麻由店長。

 

オーガニック食生活を始めて色々調べていた頃、化粧品だけは私が納得できるものがありませんでした。

私がアンチエイジングを研究する上で着目したのは「肌のバリア機能」。この機能さえしっかりしていれば、外部からの刺激や紫外線をある程度はじき、乾燥も防げる。でも、合成界面活性剤が乳化剤としてあらゆる化粧品に含まれていて、肌バリアを破壊します。肌バリアが破壊されるから、肌が荒れる。肌が荒れたら美容液を勧められ、隠したいからファンデーションを使う。

でも、そのファンデーションがとても落ちにくくなっているから、しっかり落とすために、合成界面活性剤が入ったクレンジングを使って、結局肌バリアが壊れていく。 この負のループを止めるためには、肌バリアを壊さないようにするクレンジングを作ればいいと思いました。でも、当時、オーガニックコスメなんてなかったからめちゃくちゃ大変で。防腐剤は私たちの肌を守ってくれている菌たちを弱らせてしまうから、防腐剤は使いたくないっていうと、どの業者さんでもたいてい門前払い。

でも、作ってくれるところを探して、遺伝子組み換えではない大豆レシチンを乳化剤の代わりにし、大根を発酵させたエキスを防腐剤にし、合成香料や合成着色料など、私が必要ない、と思うものは一切使わずに作りました。肌に不要なものを使わず、植物の力に満ちたオーガニックコスメとなり、それを今は「アムリターラ10の約束」と明示して、独自の商品基準を設けています。 海外のオーガニックコスメ認証も取れるんだけど、敢えて取らない(笑)。そこよりも厳しい基準で作っているという自負があるから、わざわざそこにお金を出して認証をもらう必要がないと思っています。

 

毎日の買い物で世の中が変わっていく

私は人生ロックだと思っていて、もしかしたら生まれながらの反体制なのかもしれない(笑)。オーガニックの世界に来たのも、必然かもしれません。

30歳まで月収10万円、風呂無しアパートに住んで、貯金ゼロ。夢だけポッケに入れていたような人だったから、お金への執着がなく、怖いものは何もないんです。どうせ生きるなら、若々しくずっといたいし、少しでもいい世の中にして健康な人を増やしたい。

「アンチエイジングビールを作りたい」というビール好きの勝田さんの思いから生まれた白トリュフ抽出エキス配合のビール、DHEVA(ディーバ)。

 

 遺伝子組み換えや農薬、種の問題、世の中おかしいって思うことがすごく多いけど、それを切り口に世の中に訴えていっても、反対は反対しか生まないし、関心のある人しか集まらない。環境問題、社会問題に関心がない女性でも、自分がキレイになることには関心あるんですよね。でも、究極的にアンチエイジングを突き詰めていくと、結局、世の中や環境を変えていかないと真のアンチエイジングはないんです。

自分が排出したものは必ず自分に帰ってくるし、自分がキレイでいるためには、環境に良くないものを使わないほうがいい。 今、自分の役割は、オーガニックとアムリターラを広げること。買い物は毎日の投票ですから。日々使うものが変わり、生活が変わったら、世界を見る目が変わる女性たちが増えてくると思うんです。私がそうだったように。

 

この記事を書いた人

里菌 かこ
「暮らしの発酵通信」ライター/発酵ライフアドバイザーPRO.

微生物関連会社に10年務め、農業・健康・環境などあらゆる分野での微生物の可能性について取材し、業界紙に掲載。発酵ライフアドバイザーPRO.の資格を取得し、発酵食品についても広く知識を深める。ライティングだけではなく、ワークショップ講師やイベント企画も務める文武両道の発酵ライター。

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