【開催レポ】〈暮らしの発酵通信〉リアルイベント初開催!

11月2日(菌)の夜、暮らしの発酵プロジェクト初となる、「暮らしの発酵通信」が冊子を飛び出したリアルイベントを開催!「国際利き酒師hakkouさきこさんに学ぶ!あなた好みの燗のつけ方講座」。

「暮らしの発酵通信」8号(静岡版)で特集した、静岡県藤枝市の青島酒造さんの銘酒「喜久醉(きくよい)」を、色んな温度で飲んでみよう!自分の好きな温度帯を探してみよう!というイベント。 会場になったのは、これまた「暮らしの発酵通信」7号(愛知版)でご紹介した、食のアトリエ「ゆいの森」さん。無垢の杉板と漆喰に囲まれた癒しの空間で早速スタート。

まずは、主催兼「暮らしの発酵通信」ライターのKAKO(私)から、青島酒造の青島孝さんの紹介と、冊子では書ききれなかった、青島さんからの言葉や印象を熱弁。そして、同冊子の「発酵人」でご紹介した松下明弘さんとそのお米・カミアカリも紹介。お二人ともかっこよすぎて、紹介しだしたら止められない・・・。(詳しくは、冊子を見てくださいね。「暮らしの発酵通信」お申し込みはこちら) 冊子でもご紹介しましたが、青島さんと松下さんは「世界に飛び出したからこそ、地元・藤枝の宝を見つけた」2人。 そして、なんと!今回講師としてお招きした、国際利き酒師Hakkouさきこさんも、「世界に飛び出したからこそ、地元・愛知の宝を見つけた」方。カナダでCA(インターン)の経験をしたことにより、自分のルーツである日本、愛知、そして名古屋の魅力を精力的に発信しています。

Hakkouさきこさんてどんな人?

hakkouさきこさんこと、吉田さき子さん

・三種の神器「草薙剣」で有名な熱田神社のお膝元、愛知県名古屋市熱田区で生まれた4人妹弟の長女。 ・カナダ国内線でCA(インターン)を経験するも、自らのルーツがそこにないことに気づき帰国。←ココっ! ・酒類販売業界で20年余年勤め、自身が日本人であることを再認識した時、その文化と切っても切れない日本酒の底深き歴史と伝統に魅せられ今に至る。比較対象としてのワインへの造詣も日々深めている。 ・普段飲みはもっぱら日本酒とワイン。暇さえあれば各地へ情報収集に飛び回る行動派。 日本酒国際利き酒師(英語)/ワインにも精通/食育指導士/醗酵ナビゲーター/インターネットラジオゆめのたねパーソナリティー・hakkouさきこの「醸しBAR」(毎週菌曜日19:30~20:00)(FBページ▼) ・日本酒・ワイン・発酵食品などイベント運営多数、セミナー実績あり ・フェミナリーズ世界ワインコンクール2017審査員 ・名古屋学院大学夏期留学生「日本酒講義」担当 ・REAL醸しBARイベントで日本酒や自然派ワインのイベントを開催 ・輝く女性ソーシャルビジネスコンテストあいち2018「愛知銀行賞」受賞

日本酒講座スタート!

お酒は「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」に分類されますが、日本酒はビールやワインと同じ、「醸造酒」に分類されます。“日本”酒と国の名前がつくほど、この国では古くからつくられ、文化として浸透してきました。冠婚葬祭はもちろん、神事にも欠かせない日本酒。 日本酒の原材料は米と水。そこに人と菌が関わって、酒を醸していきます。「人・米・水・麹」がとても大切な要素。 講座の中では、日本酒の作られ方や歴史、日本酒の裏面のラベルにある「日本酒度」「酸度」の見方、純米酒/純米吟醸酒/純米大吟醸酒/本醸造/吟醸/大吟醸などの違いも教えていただきました。 「日本酒は本当に奥が深くて、全部話したら1日でも足りないくらいだから、今日はこの辺はさらっと行きますね。」とさきこさん。う~ん、今度は合宿にしようか(笑)。

日本酒の温度と呼び方

「ぬる燗」「熱燗」くらいは知っていたけど、それ以外にもたくさん呼び方があるんですね。お店で「日向燗おねがいします」なんて言ったら、ツウの楽しみ方かしら?(嫌がられる?) 温め方も様々。 もっとも一般的なのが湯煎燗。温めたお湯の中に徳利を入れて温める方法。お湯を沸騰させて火を止め、徳利を入れて2~3分待つ。徳利をお湯に入れて火にかけると思っていた私は間違っていました・・・(反省)。より風味がまろやかになる裏ワザも教えてもらいました。 温め方では、なんと、直接日本酒を火にかけてしまう、「直火燗」なんていうのもあるそうです。あとは、手軽にできる「電子レンジ燗」。でも、さきこさんとしては、電子レンジ燗はあまりおいしくないので、おススメではないみたい。 今回、さきこさんと編み出したもう一つの燗のつけ方は「ヨーグルティア燗」。コンロのお湯は冷めてしまうので、沸かしたお湯をヨーグルティアの容器に入れ、65℃のMAXに設定して保温。食卓の上で常に温められるから、これは大発見!

大人たちが真剣に温度計を見つめる・・・

「喜久醉」の特別純米と純米吟醸を使って、温度を測り、自分が一番おいしく思える温度を味わってもらいました。温度によって、香りや味、まろやかさやがかわることを皆さん体感。たかが5℃、されど5℃。どの温度がいい悪いではなく、どんな味が好きか研究していただきました。

空腹で試飲していては酔いが回ってしまう!ということで、お食事タイム。

愛知県産を中心に発酵食品をふんだんに使ったおつまみプレート

メインディッシュは塩麹漬け鯛のアクアパッツァ

松下さんのカミアカリ

もちろん、「暮らしの発酵通信」で取り上げた松下明弘さんのカミアカリ(玄米)も土鍋で炊いて◎雑穀のように見える黄色い粒粒は、お米の胚芽。巨大胚芽米がこのカミアカリの最大の特長なんです。プチプチとした食感と、パサパサ感が少ない食べやすさ。「お米おいしー!」と、おかわりいただきました。   ご飯が来たら、もう、飲み会状態。お酒が進む進む・・・。楽しく夜が更けていきました。    

参加者さんの感想

「日本酒は好きで飲んでいたんだけど、熱燗は苦手で。でも、温めて飲むことができれば、もっと日本酒の楽しみ方が増えると思って今日は参加しました。発酵料理も気になって。今日、燗のつけ方を教えてもらって、おいしく飲めることがわかって嬉しいです。」 「自分は端麗辛口の日本酒が好きなんだけど、温度によっても、その味に近づけられることがわかって楽しかったです。日本酒の小ネタも今度使います(笑)。」 「グワっとくる熱燗が苦手だったんだけど、ぬる燗にしたら全然そんなことがなく、おいしく飲めることが発見でした。これからの季節色々試してみます。」  

最後にさきこさんから。

「日本酒って、本当に計り知れないくらいの手間と時間がかかっているんです。そして、それをつくっているのは日本だけ。輸入されたお酒は関税がかかっているから、例えば1本3000円のワインと4合瓶3000円の日本酒では、中身に支払う金額が高いのは日本酒。実は、消費者にとってお得なんですよ。 名古屋市内にもまだいくつか酒蔵が残っています。日本酒の消費量が少なくなると、そうした地元の酒蔵も続けていけなくなってしまいます。特別な日だけに日本酒を飲むのではなく、日常の中で、『今日は1杯だけ日本酒飲んでみようかな』と、もっともっと日本酒を楽しんでほしいです。」

「飲む前に撮ればよかった!」と言われましたが、皆さん、平気そう。

この記事を書いた人

里菌 かこ
「暮らしの発酵通信」ライター/発酵ライフアドバイザーPRO.

微生物関連会社に10年務め、農業・健康・環境などあらゆる分野での微生物の可能性について取材し、業界紙に掲載。発酵ライフアドバイザーPRO.の資格を取得し、発酵食品についても広く知識を深める。ライティングだけではなく、ワークショップ講師やイベント企画も務める文武両道の発酵ライター。

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