空と、海と、藍のあお:in Between Blues 永原レキさん

高知県にほど近い徳島県海陽町。 太平洋を臨む街道沿いにあるカフェ&ショップ「in Between Blues」。四国八 十八ヶ所お遍路の旅が始まる徳島県。サーフィン、藍染、空海、この3つをつなげ、世界にi & i( 藍・愛)を発信していきたいと永原さんは言う。

サーフィンと藍とお遍路をつなぐ「ブルー」

海陽町はサーフィン好きにはとても有名なエリアで、世界中からここにいい波を求めてサーファーたちが集まります。僕自身がサーフィンを教えてもらったのもこの海。学生時代は日本チャンピオンになって、でも、それで飯を食っていけるほどではなくて、挫折して、そのあと国内外のサーフィンと地域文化が根強い地域を転々と巡り暮らしてたんですよね。 帰国して、たまたま行った展示会で㈱トータスを知ったんです。亀田専務から藍の話を聞いて。藍染って元々日本各地で根付いていた衣文化であり、植物由来で水や土に還る天然染料で環境にもいいし、しかも、その藍葉の日本最大の生産地が徳島だって聞いたら、「徳島すごいやん!」って思ったんですよね。それまで地元や藍に関する知識はほとんどありませんでしたから。

この店を始める前に、どうしてもやりたかったことが四国歩き遍路で、お遍路を始めたのは自分の今の活動のコンセプトでもある空海(弘法大師)をより深く知るためでした。お遍路さんにお接待を通じて利他の心を伝える四国八十八ヶ所遍路という文化は、藍やサーフィンと並んで故郷に縁する素晴らしい文化だと考えてきました。

空海の名前は、彼が四国室戸の地で悟りを開いた時に見た水平線の空と海からきているそうです。空と海との間で遊ぶサーフカルチャー、 植物から空の青、海の青を生み出す藍染文化、そして、お遍路文化を築いた空海の名に由縁する故郷の空と海の青、「空と海」というキーワードでつながる、サーフィン、藍、お遍路、これらを結べばきっとより面白く素晴らしいエネルギーが生まれると確信しています。in Between Bluesっていう店の名前も実はそこからきています。活動を続けていくためにお遍路で四国を歩くのは絶対必要な経験でした。

楽しみながら自然に寄り添った暮らし方へ

お遍路文化を通じて、四国の人たちには、他者に何か施すことが巡り巡って自分のためになるという感覚が染み込んでいます。 それって、すごく素敵ですよね。この地域の誇るべき文化であり、風習です。 藍も同じなんです。葉を使って布を染めて、染料としての役目を終えた後も、畑の肥料になるし、水と土を汚さずに自然に還っていく。藍を知ることによって、日本の歴史や文化、環境のこと、食のこと、多くのことに気づくきっかけになると思います。自分がそうだったから、自分みたいな人が一人でも多く増えてほしいな。藍に色んな形で触れてもらおうと、店では藍染体験をしたり、藍染の商品を販売したり、藍の葉や種をスコーンとかクッキーにして出しています。

サーフィンをするにも、ビーチが汚れていたら嫌だし、キレイな空と海を感じながら波に乗りたい。そう思ったら、日常品もなるだけ自然やヒトに優しいものを取り入れようって、生活が自然に変化していくんです。 人や地域とつながって、支え合いながら楽しみながら、 地球のため、環境のため、そして自分のためにやっていく。 これからもこの店を拠点に、サーフィン・藍・空海を通じて、この土地の自然や文化の魅力を発信していきたい。モノやヒト、土地や時を想う利他の心、藍と愛を伝えていきたいと思っています。

  (「暮らしの発酵通信」6号より)


取材:2017年6月

Information
in Between Blues
住所
徳島県海部郡海陽町宍喰浦字松原216-3
TEL
0884-70-1488
営業時間
11:00-17:00 【定休日】火

この記事を書いた人

里菌 かこ
「暮らしの発酵通信」ライター/発酵ライフアドバイザーPRO.

微生物関連会社に10年務め、農業・健康・環境などあらゆる分野での微生物の可能性について取材し、業界紙に掲載。発酵ライフアドバイザーPRO.の資格を取得し、発酵食品についても広く知識を深める。ライティングだけではなく、ワークショップ講師やイベント企画も務める文武両道の発酵ライター。

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